「幸せのどん底」


原作はパジャマ党の大岩章介さん、演出は俳優の矢崎滋さんでした。 矢崎さんにはこの作品を含めて、赤信号劇団として3回、矢崎茂プロ デュースとして1回、計4回演出してもらいました。
随分多くのことを教えてもらったものです。芝居とは会話と心のキャ ッチボールであることの原則、つまり自分ひとりで芝居してはいけな いこと。
舞台上である行動をやり始めたら必然性があるまで止めないこと、つ まり芝居の段取りで行動を抑制しない、芝居の都合に自分を合わせず 本気でやること。
(例えばある女優さんのオッパイを触ろうとする芝居が台本にあった ら、きちんと誰かが止めるまではその行動を止めない。止められなけ れば触っちゃえばいいんです。だってそうでなければ遠慮すると却っ て不自然です。もっともそうやってその女優さんにぶん殴られるか嫌 われるか、はたまた惚れられちゃうかは私の感知するところではあり ませんけどね)
細かいところではこんなこともあります。テンポの速い喜劇の場合、 ま、多くはドタバタの場合は物語の筋と演じる人間のリアリティのた めに瞬時に色んな事柄を目に入れ、耳にし、感じたり、考えたりしな ければなりません。糞リアリズムに対する喜劇のためのリアリティで す。この時多くのものを感じるためには”こなし”の演技も必要にな るのです。この”こなし”も教わりました!
相手役の行動をきちんと受け取るために「メガネをちゃんとかけなさ い」と言ってくれたのも矢崎さんです!!劇団四季譲りのチケットの 売り方まで教わりました!!!v(=∩_∩=) (☆-◎;)が-ん

すみませんちょっと興奮してしまいました。

お芝居の方は、ニューヨークにある日本人向けの居酒屋を舞台にした 友情と恋の物語です。この芝居のゲストに迎えた中村ひとみさんを巡 って、リーダー渡辺正行(日本から遊びに来た人)とラサール石井 (居酒屋の主人)の心が揺れます。旧友でもある2人は恋と友情に悩 みます。居酒屋の共同経営者でもある、私、小宮孝泰はハラハラしま す(心情的には主人の味方なのですが、物事はそう単純ではありませ ん)。物語は逆転に継ぐ逆転を重ねて、ブラザーズフォーの「七つの 水仙」がかかるエンディングに向かいます。
この芝居は稽古の途中から、物語の後半を役者を中心に作り直すこと になり、皆で相談して原案を出し、最終的には私が一晩か二晩でまと めたのを憶えています。
初めての舞台経験だった中村ひとみさんが、楽日の終演後、舞台袖に 引っ込んで来た途端に大声をあげて泣き出したのも印象的でした。あ れはきっと途中の自主練のリーダーのダメ出しがきつ過ぎたからでし ょう。でも、まあそれだけ僕らも含めて皆良いものを作るために苦し んだりしたものです。

私の恋人役には元チャイルズ(磯野貴理子がリーダー)の茂原裕子。 一言しか喋らないけど重要な乞食の役に、当時はまだ僕らと一緒に芝 居していた近藤芳正。彼は乞食役の気持ちになるために、自分の出番 がない時はずっと(つまり相当長い間)稽古場の外の地べたに坐って いました。新納敏正や朝倉伸二もいましたし、まだ七曜日に入りたて の江端英久が初参加したのもこの舞台ではないでしょうか。


throw  hitomi
↑上左側の写真は、フランキー堺の「幕末太陽伝」の羽織投げを真似して、コートを放り投げてスパッと手を入れて着てしまう技に挑戦しているところ。実のところはかなり苦戦していたので、本番中も「普通に着た方がいいんじゃないか」と石井に突っ込まれていた。右側はこれが初舞台の中村ひとみの真剣な演技。二人の男に想われて胸が痛い彼女。見守る私。



  [トップ][プロフィール][近況報告][舞台歴][海は友達][掲示板]
[こんなもの描きました][こんなもの書きました]